湯河原温泉(神奈川) サル被害、宿の周りは2.7%

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サルとすれ違っても、目を合わせずに後ずさりすれば、それで済みます。知っていれば、湯河原の坂道はいつもどおり歩けます。

神奈川県足柄下郡湯河原町で、2026年9月17日に40代の男性が10匹以上のサルに襲われ、体の数か所をかまれて病院に運ばれました。けがは軽くて済みました。この件はシルバーウィークの直前にテレビで取り上げられ、湯河原へ行く予定の人から不安の声が出ています。

ただ、町が毎年やっている調査を見ると、被害が起きている場所ははっきり偏っています。温泉宿が並ぶあたりと、住民が暮らす住宅地では、数字がまったく違います。ここでは町と県の一次資料をもとに、どこで何が起きていて、泊まる人は何をすればいいのかを整理します。

被害の9割近くは、宿のある場所ではありません

湯河原町は毎年、全世帯に調査票を配ってサルの被害を数えています。2026年7月15日に公表された「令和7年中のニホンザルの生活被害状況調査結果」によると、2025年の1年間で報告された被害は6,054件でした。回答は453件の世帯・店舗から集まっています。

その6,054件が、どの地区で起きたかの割合です。

地区 被害件数の割合
宮下 47.0%
城堀 25.5%
宮上 12.8%
中央 4.3%
鍛冶屋 3.6%
吉浜 3.1%
温泉場 2.7%
門川 0.5%
不明 0.5%
奥湯河原 0.0%
川堀 0.0%
福浦 0.0%

宮下と城堀の2地区だけで、全体の72.5%を占めます。どちらも人が暮らす住宅地です。いっぽう、旅館や日帰り温泉が集まる温泉場は2.7%、その奥の奥湯河原は0.0%でした。

これは「温泉街にサルが出ない」という意味ではありません。町の案内は温泉場も出没する場所として挙げています。ただ、被害が集中しているのは、サルが屋根に乗ったり庭の野菜を取ったりする、生活の場のほうだということです。宿に泊まって温泉街を歩く旅行者と、毎日そこで暮らす人とでは、出会う回数がそもそも違います。

数は減っていますが、けがの中身は変わりました

年ごとの合計は次のとおりです。

被害の合計
2022年(令和4年) 7,769件
2023年(令和5年) 8,216件
2024年(令和6年) 10,854件
2025年(令和7年) 6,054件

2024年から2025年で4,800件減りました。屋根に乗られた件数も、家の一部を壊された件数も、大きく下がっています。

ここで大事なのは、人が直接けがをした件数です。2025年の調査では、威嚇された267件、追いかけられた72件、体に乗りかかられた4件、引っかかれた0件、かみつかれた0件でした。2025年は、かまれた人は1人もいませんでした

つまり9月17日の一件は、前の年には1件も起きていなかった種類の被害です。件数は減っていても、1回あたりの重さは上がっている、と読むのが正確です。町も調査のまとめで「町民が追い払いをしても逆に威嚇するなど、ニホンザルが人間に慣れてきている状況が伺えます」と書いています。

調査には住民が書いた具体的な報告も載っていて、そのなかに「露天風呂付近に出没して閉鎖せざるを得なかった」という一文があります。温泉に入っている最中に閉められることも、まったく無いとは言えません。

会ってしまったら、目を合わせずに下がる

町と県、それに取材を受けた専門家の言うことは、そろっています。

  • 目を合わせない。サル同士では、目を合わせて歯を見せるのが威嚇です。見つめると、けんかを売っていると受け取られます
  • 背中を見せない。後ずさりしながら離れます
  • 追いかけ回さない。写真を撮ろうと近づくのも同じです
  • 食べ物を見せない・与えない。人の食べ物の味を覚えると、人から奪うようになります
  • 窓や引き戸に鍵をかける。サルは引き戸や網戸を開けて中に入ります

宿の部屋でも同じです。ベランダや窓を開けっぱなしにして、テーブルにお菓子を置いたまま風呂へ行かない。2025年の調査で家の中から取られたものは、お菓子・野菜・パン・玉子でした。

湯河原町は住民向けに、追い払い用の花火(爆竹・ロケット花火)と、2026年からは長さ1メートルほどの棒も配っています。旅行者が持ち歩くものではありませんが、「町ぐるみで追い払っている場所なのだ」とわかっていると、地元の人が花火を鳴らしていても驚かずに済みます。

群れは20頭、湯河原だけの話ではありません

神奈川県の資料では、この群れは「T1群」と呼ばれています。天照山の頭文字から付いた名前です。

項目 内容
頭数 20頭(神奈川県のページ・2026年6月9日更新)
行動する範囲 湯河原町(宮下・宮上・城堀・鍛冶屋・吉浜)、真鶴町、熱海市
扱い 西湘地域のニホンザルは県が絶滅のおそれのある野生動物に指定しており、許可なく捕まえることはできない

湯河原町の内藤喜文町長は2026年7月15日に県庁を訪ね、群れを全部捕獲する許可を求める要望書を手渡しました。県の自然環境保全課は、住民の不安は理解するとしたうえで、全頭を捕獲することには「慎重に議論をしなければいけない難しさもある」として、加害性の高い個体を捕まえる形で対応する方針です。2026年9月21日の時点で、全頭捕獲の許可は出ていません。

町と県は2026年1月から3月にかけて、専門家に頼んで加害性の高い個体の捕獲を合同で行いました。群れのリーダーにはGPSを付けてあり、市街地に近づくとボランティアの追い払い隊が出動します。ただ、サルがロケット花火に慣れてきていて、効き目が落ちているとも報じられています。

泊まる場所をどう考えるか

数字のうえでいちばん静かなのは奥湯河原です。2025年の被害割合は0.0%でした。川の上流側にあり、もともと宿の中で過ごす時間が長くなる場所なので、散策より宿でゆっくりしたい人に向きます。宿の選び方は奥湯河原で静かに過ごせる宿7選にまとめています。

温泉街を歩きたいなら温泉場です。こちらも2.7%で、日中に人通りのある道を歩くぶんには気にしすぎなくて大丈夫です。歩く順番は湯河原温泉の1泊2日モデルコースに、エリアごとの違いは湯河原温泉のエリアガイドにあります。

小さい子を連れて行くなら、ひとつだけ足しておきたいことがあります。お菓子を手に持って歩かせない。サルは持っているものを狙います。手ぶらで歩いて、食べるときは店の中か宿の中にする。それだけで、取り合いになる場面をほぼ避けられます。

宿の一覧は湯河原のおすすめ温泉宿15選、車を使わずに行く場合は湯河原温泉で車なしに泊まるならをどうぞ。

まとめ

  • 神奈川県湯河原町で2026年9月17日、40代の男性が10匹以上のサルにかまれ、病院に運ばれた(軽傷)
  • 町の調査では、2025年の被害6,054件のうち宮下47.0%・城堀25.5%で、この2つの住宅地に72.5%が集中している
  • 宿が並ぶ温泉場は2.7%、奥湯河原は0.0%。被害の中心は旅行者が歩く場所ではない
  • 合計は2024年の10,854件から2025年は6,054件へ減った。ただし2025年はかまれた人が0件で、9月17日の件は前年に無かった種類の被害にあたる
  • 会ったときは、目を合わせない・背中を見せず後ずさる・追いかけない・食べ物を与えない
  • 宿の部屋でも、窓を開けたままお菓子を置いて出かけない。2025年に家の中から取られたのはお菓子・野菜・パン・玉子
  • 群れは「T1群」20頭で、湯河原町のほか真鶴町・熱海市も行動範囲。県は2026年6月9日時点でこの頭数を示している
  • 町長は2026年7月15日に全頭捕獲の許可を県へ要望したが、県は慎重な姿勢で、2026年9月21日時点で許可は出ていない

※この記事は2026年9月21日時点の、湯河原町・神奈川県の公表資料と報道に基づきます。状況は変わることがあるため、出かける前に湯河原町の案内をご確認ください。

出典

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