湯平温泉(大分) 石畳の石、1つの持ち主になれます

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坂の途中でしゃがんで、スマホをかざす。「これが自分の石だ」と分かった瞬間、ただの坂道が自分の場所になります。

大分県由布市湯布院町にある湯平温泉には、石畳の石を1つ選んで「持ち主」になれる仕組みがあります。湯平まちづくり協議会「ゆのひらんプロジェクト」がやっている石畳オーナー制度です。5,000円から申し込めて、お金は共同浴場の復興とまちの運営に使われます。

ニュースで名前を見て気になった人のために、いまいくらで、何がもらえて、どう申し込むのかを、公式の案内と通販ページで確かめた内容だけで書きます。

石は約6,600個。全部3Dでスキャンしてあります

湯平温泉の石畳は、花合野川(かごのがわ)に沿って温泉街を縦に貫いています。長さは約440メートル、石の数は約6,600個。プロジェクトはこれを27のブロックに分け、1つずつにオーナー権を発行しています。

始めるにあたって、約6,600個すべてを精密に3Dスキャンしました。オーナーになった人に「あなたの石はここです」と正確に伝えるためです。おかげで、通販ページに並ぶ石は1つずつ写真と番号が付いていて、形を見て選べます。

石には名前も付いています。「魔法石」「梅干し石」「小さな鳩石」「握り心地がよさそうな石」。番号だけの一覧ではなく、選ぶところがいちばん楽しい作りになっています。

値段は3種類。もらえるものが変わります

会員のランクは3つです。石ごとに値段が決まっていて、同じ区画のなかにも5,000円の石と30,000円の石が混ざっています。好きな石を選ぶと、その石の値段に応じたランクになる、という仕組みです。

ランク 金額 もらえるもの
シルバー会員 5,000円 オーナー権、会員証
プラチナ会員 10,000円 オーナー権、会員証、てぬぐい
ゴールド会員 30,000円 オーナー権、会員証、てぬぐい、湯平ようかん、温泉入浴券2枚、ゆのひらんアイス引換券2枚

会員証は石の形をしたアクリル製で、キーホルダーにもなります。てぬぐいは、よつめ染布舎の小野さんがデザインしたものです。

泊まりに行く前提なら、30,000円のゴールド会員だけ性格が違います。温泉の入浴券2枚とアイスの引換券2枚が付くので、現地で使うものが手元に来ます。入浴券が使える浴場は申し込みページと券の案内でご確認ください。湯平の共同浴場の今の営業状況は湯平温泉エリアガイドにまとめています。

申し込みで気をつける点が2つあります。

  • オーナー権は2年間有効です。買い切りではありません
  • 毎月20日締めで、発送は翌月10日ごろ。申し込んですぐには届きません。旅行の日に合わせたいなら、1か月以上前に申し込むのが安全です

選べるのは7つの区画

2026年9月21日時点で、通販ページに並んでいるのは次の7区画です。

区画 どんな場所か
「石畳の驛 つるや」前 水害を越えて人が集まる、温泉街の寄りどころの前
共同温泉「中の湯」前 坂のちょうど中ほど。いまは休止中だが、赤提灯が夜の石畳を照らす
旅館「白雲荘」前 湯平の歴史とともに歩んできた宿の前
「右丸旅館」前 提灯の明かりに包まれる、湯平らしい一角
石畳が続く道 坂が穏やかに伸びていく、いちばん石畳らしいところ
「ゆのひらんアイス」前 地元で愛されている冷菓の店の前
「旧岡村商店」前 通販ページに並んでいる区画のひとつ

泊まる宿が決まっているなら、その宿の前の石を選ぶのが分かりやすい方法です。右丸旅館と白雲荘は石畳沿いに立つ宿で、右丸旅館は湯平温泉のおすすめ旅館7選でも取り上げています。窓から自分の石が見える、ということもあり得ます。

売り切れた石には「SOLD OUT」が付きます。人気のある区画から埋まっていくので、狙いがあるなら早めに見ておくとよさそうです。

なぜ石畳なのか

湯平温泉は鎌倉時代にはすでに湯治場として開かれていたとされ、開湯からおよそ800年になります。胃腸に効く湯として知られ、俳人の種田山頭火が句を残し、1982年の映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』の舞台にもなりました。

その石畳は、約300年前の山津波(豪雨による大水害)のあとに造られたものです。まちのほとんどが流された記録が残っていて、川から流れ出た石を積み上げて坂道を復活させたのが、井路工事を任されていた工藤三助という人でした。石畳そのものが、水害から立ち直った跡だということです。

そして湯平温泉は、2020年と2022年にも豪雨で川が氾濫し、大きな被害を受けました。2020年の豪雨では旅館の経営者が亡くなり、共同浴場の「砂湯」は流されて跡形もなくなりました。復旧の間は、すべての旅館が休業しています。

いまは旅館はすべて営業を再開しました。共同浴場は、いちどは多くが閉まったものの、2024年10月に「銀の湯」が観光協会の手で復活しています。オーナー制度で集まったお金は、こうした共同温泉の復興とまちの運営に使われます。湯平地区に住んでいるのは250人ほどで、行政の支援だけに頼らずに続けるための資金づくり、という位置づけです。

現地で何ができるのか

オーナーになると、湯平を訪れたときに自分の石をスマホのARで探せます。3Dスキャンをしたのはこのためです。番号と写真を手がかりに、坂のどのあたりかを画面で見ながら歩く形になります。

もうひとつ、「石畳ペイ」という湯平の地域デジタル通貨が準備中です。温泉に入ったり土産を買ったりできるものとして案内されていますが、2026年9月21日時点ではまだ準備中の表示です。これを目当てに申し込むのは、いまは早いです。

始まりはクラウドファンディングでした

この制度は、2024年11月1日に始まったクラウドファンディングから動き出しました。

項目 結果
募集期間 2024年11月1日〜2025年1月5日
目標金額 500,000円
集まった額 923,000円(184%)
支援した人 92人

集まったお金は、6,600個の石の3Dデータ化とウェブサイトの制作に使われました。支援した人は先にオーナーになり、石を先に選べる特典が付きました。

そのころと今とで、違っている点が2つあります。クラウドファンディングには100,000円のダイヤモンド会員(宿泊補助15,000円つき)がありましたが、2026年9月21日時点の通販ページには5,000円・10,000円・30,000円の3種類しか並んでいません。オーナー権の有効期間も、当時の案内は1年間で、いまの通販ページは2年間です。昔の記事で金額や特典を見た人は、いまの案内で確かめ直してください。

このほか、ふるさと納税でも石のオーナーを募る予定だと公式サイトに書かれています。開始時期は示されていません。

湯平に泊まるなら

石を選んでから行くにせよ、行ってから決めるにせよ、湯平は宿の数が多くありません。小さな宿が石畳や小道に張り付くように並んでいます。宿の選び方は湯平温泉のおすすめ旅館7選、夕食で選ぶなら湯平温泉の夕食が楽しみな旅館7選をどうぞ。

ひとつ注意したいのが交通です。湯平駅から温泉街までは約4キロあり、歩くと坂込みで1時間ほどかかります。送迎のある宿は予約が要るものが多く、最終チェックインも早めです。湯平温泉で車なしに泊まるに、送迎の条件と到着時刻のまとめがあります。石畳を歩く時間を1日のどこに置くかは湯平温泉1泊2日モデルコースにまとめました。

まとめ

  • 大分県由布市の湯平温泉で、石畳の石1つのオーナーになれる「石畳オーナー制度」が動いている。やっているのは湯平まちづくり協議会「ゆのひらんプロジェクト」
  • 石畳は長さ約440メートル・約6,600個。全部を3Dスキャンしてあり、通販ページで写真と番号を見て選べる
  • 金額は5,000円・10,000円・30,000円の3種類で、石ごとに決まっている。30,000円のゴールド会員には温泉入浴券2枚とアイス引換券2枚が付く
  • オーナー権は2年間有効。毎月20日締めで発送は翌月10日ごろなので、旅行に合わせるなら1か月以上前に申し込む
  • 選べる区画は7つ。右丸旅館前や白雲荘前など、泊まる宿の前から選ぶこともできる。売り切れた石もある
  • 石畳は約300年前の山津波のあとに造られたもの。湯平は2020年・2022年の豪雨でも被害を受け、集まったお金は共同温泉の復興とまちの運営に使われる
  • 現地では自分の石をARで探せる。「石畳ペイ」は2026年9月21日時点でまだ準備中
  • 2024年11月〜2025年1月のクラウドファンディングでは92人・923,000円が集まった。当時あった100,000円のダイヤモンド会員(宿泊補助つき)は、いまの通販ページには無い

※この記事は2026年9月21日時点の、石畳オーナー制度の公式サイトと通販ページ、クラウドファンディングのページに基づきます。金額・特典・区画は変わることがあるため、申し込みの前に公式の案内をご確認ください。

出典

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